三国志【※】

【関劉】温もりを腕に抱き

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ほのめかし程度の関→劉
見ようによっては 関+劉(ついでに張も)な話です

ほのぼの桃園三人組はこれがデフォルト
糖度はそこそこ…?





 夜。空には月が昇り、パチパチと松明の爆ぜる静かな音が響く。
 今なお血のにおいが濃く残る原野は、陽が沈む数刻前まで戦場だった。

 そこに、三つの人影があった。

 内二つは腰を下ろしていながらなお、一枚岩のように大きく。
 その二つの間に守るように挟まれたあとひとつの大きさは――まあ、人並み。
 しかし、傍らにぴたりと添う巨躯のせいで、随分小柄に見える。

「――おい兄貴。兄者、寝ちまったぞ」

「…うむ」

 絶対の信頼をおく頼もしい義弟二人に背を預け、安心しきった様子ですうすうと寝息を立てる劉備の寝顔は、武骨な武具を纏ったひとかどの将でありながらどこか幼い。

 関羽は薄く眼を細め、眠りに落ちた長兄の身体をさり気なく自身のほうに引き寄せる。

「…ん…」

 ことり、とたやすく傾いてきた身体。

――。

 一瞬、譬えようのない愛しさが奥底からこみ上げたが、すぐに穏やかな気持ちのほうが勝り、さほどの苦もなく蓋をして己の裡(うち)にとどめた。

「お疲れなのだろう」

「いつ敵の夜襲があるとも知れない陣中のただ中だってのに、肝の据わったお方だぜ。さすがは我らが主君と決めた方だ……なぁ兄貴」

 眠る長兄を慮ってか、心持ち声を落として言う張飛の精悍な容貌いっぱいに、隠しようのない歓喜がにじむ。
 関羽も釣られて劉備の寝顔を覗き込み、笑みを深くする。

 ――武も。志も。……命をも。
 己の持てるすべてを捧げるに足る至高の人物を得られたこと。

 それもあるが、きっとそれだけではない。

 人が、最も無防備になる瞬間――眠りの淵に身を投じる時。
 基本誰に対しても人当たりのいい長兄の、真実気を許した、ほんのひと握りの者にしか立ち入ることを許さない完全なる私の領域に、自分たちの存在が無条件で受け入れられているということ。
 こんなふうに身を任せ寝顔をさらすのは、その何よりの証。

 張飛もきっと、それこそが嬉しいのだろう。

 もたれかかる何よりも大切な温もりを大事に大事に腕に抱き、関羽は口元をゆるめる。

「ゆるりと休まれませ、兄者。この関雲長、全力で兄者の眠りをお守りいたしますぞ」

「あっ、ずるいぜ兄貴!
 ――兄者、おれも! おれだって、兄者を守るからなッ」

「こら、よさんか張飛、せっかくお休みだというのに眼を覚ましてしまわれるだろう」

 さっきまでの配慮はどこへやら。
 声を大にして、対抗心むき出しで身を乗り出してくる張飛を、関羽が苦い顔で、声をひそめてたしなめる。

 そんな義弟たちの攻防を知ってか知らずか、眠る劉備はひとり、幸せそうに微笑んだ。
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