トリコ【※】

【ココマ】迸る狂気

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ココ→小松 完全病みココ
小松総受け風味

ココ視点でかなり暗い話です(しかも無駄に長い)

ひょっとしたら続くかもしれません

コミックス未読のため 色々と辻褄が合わないところがあるかと思われますが そこはスルーで





 小松がトリコとコンビを組んだ。
 それも、トリコから熱望される形で。


 出会った時からもう随分と長いこと小松に想いを寄せているココは、トリコが自分と同じ感情を小松に対して抱いていることに薄々勘づいていた。
 だが、散々浮名を流した末にめぐり合った大本命相手とあっていつになく慎重になったのか、はたまた小松の神がかり的な鈍さのせいか、今まで幾多もの困難なハントをともに乗り越えてきながら、トリコと小松の関係にこれといった変化や進展は見られなかった。

 ――だから、すっかり気を抜いて油断していた。
 あのトリコが、手に入れたいと渇望する極上の獲物を前に、いつまでも大人しく指をくわえたままでいるはずがなかったのに。


(これは、布石だ)


 男らしい秀麗な顔から、きつく締めつけた首筋から、お気に入りの紅茶の入ったカップの持ち手を握る長く優雅な指先からジワジワと毒をにじませながら、ココは思う。


(そして僕たちへの牽制でもある)


 庭時代からの旧友であるサニー、彼も美食屋として――同時に、血の通ったひとりの男として小松を欲し、それを隠さず堂々と小松本人に公言している。
 対するココは、毒人間であるという後ろめたさと、何となくタイミングを逃してしまったこともあって、現在までサニーのように小松に自分とコンビを組まないかと申し出るには至っていない。

 …ひょっとしたら、断られるのが怖かったのかもしれない。
 どんなことでも、小松から否定されるのはつらい。
 考えただけで、まるで心臓を刺し貫かれたような激痛が胸に奔る。

 でも、そんなふうに考えて尻込みしてしまった過去の自分を、ココは今猛烈に殴り飛ばしてやりたくてたまらなかった。

 何度困り顔で「ごめんなさい」と断られても、気遣いにあふれた優しい言葉でやんわりと拒まれても、それと同じ回数だけ――いや、それ以上の回数、小松に自分の気持ちを伝えていればよかったのだ。
 それこそ、サニーのようにまっすぐに。

 そうすれば、今、小松のコンビの座を勝ち取っていたのはココだったかもしれない。


 ――今となってはもう、すべて『Ifもしも』の話でしかないけれど。


 公にコンビとなったからには、今まで以上に一緒にすごす時間が増える。
 そうなれば、トリコは一気に攻勢に出るだろう。


 たぎる胸の内を明かして。

 「お前が欲しい」とむき出しの激情をぶつけて。

 小松の心の中に己を刻みつけて。


 元から美食屋トリコの大ファンだった小松のことだ、トリコの熱烈なアプローチに触発されて、尊敬の念が恋愛感情のそれに変わったとしても何ら不思議ではない。


「――……ッ」


 透き通った茶色い水面がひときわ激しく揺れ、震えるココの手からカップが滑り落ちる。
 ガシャン、と音を立てて、カップは床の上に陶器の欠片となって無惨に砕け散った。
 それは、まさしくココの心境そのもので。


(嫌だ)


 大きく瞠られた真紅に染まった双眸から、ツゥー…と致死毒の涙がこぼれ落ちる。
 テーブルに敷かれたクロスが、下のテーブルごとジュッと煙をあげて腐り、溶けていく。

 しかしココは、普段から自分があれだけ過敏に神経をとがらせて注意していた毒のコントロールを放棄したことにすら気づかない。

 危ういところで保たれていた均衡が崩れ、ココはとうとう心の箍を外してしまった。


「渡さない……小松くんは僕のものだ」


 四天王一の優男と称され、世間からもてはやされている沈着冷静な面影は、どこにも残っていない。
 そこにいるのは、気が狂わんばかりの恋情にとらわれたただの男でしかなかった。


「小松くん――あぁ、小松くん。地上に舞い降りた僕の天使、僕の女神。待っていて、すぐに迎えに行くよ。きみは僕のそばにこそいるべきなんだ。トリコなんかには渡さない」


 全身から毒をしたたらせ、ココは嗤う。
 それは見る者を心胆からゾッと戦慄させる、艶麗で凄絶で昏く歪んだ微笑。

 ゆらりと立ち上がったココに呼応するように、窓の外でキッスがやかましく鳴きわめく。
 空の番長ともあろうものが、何かに怯えたような、ひどく落ち着かない様子で大きな漆黒の翼を広げ、暴れまわり、くちばしや鋭利なかぎ爪でガリガリとそこらじゅうを抉る。

 理由は言わずもがな、毒化したココをおいて他にない。


「ふふ、おまえも喜んでくれるかいキッス。僕と小松くんの新しい門出を」


 尋常でなく騒ぎ立てる相棒を窓越しに見やってから、ターバンを巻き、マントを羽織って外に出る。

 ココは完全に怯えて近寄ってこようとしないキッスの背に無理やり飛び乗り、トントンと指で合図を送る。
 目的地は、愛しい小松が平時全霊をかけて腕を振るうホテルグルメ。

 今日日きょうび小松がトリコやサニーのハントに同行するという話は聞いていないし、九十七パーセントの的中率を誇るココ自身の占いでも小松の予定に変動はないと出ているから、きっと彼は今そこにいる。
 ――目障りなトリコはそばにいない。


「今行くよ、小松くん」


 未だ恐怖に巨体を震わせながらも、高い知能を持つエンペラークロウは主の命令に忠実に従い、ホテルグルメに向かって飛び立つ。黒い羽根が無数に散った。




 何も知らない小松に欲望の毒手が振り下ろされるまで、あと少し。





中二病臭いココさんでまことにすみません。
征亨の中で今、ヤンデレココ→小松がきてまして…。
長々とお眼汚しすみませんでした。
気が向いたら続き書きます。
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